クロムめっき再生から戻ってきたインナーチューブを組み立てます。
コイルスプリングの自由長の規定寸法は、472mm~484mm。
実測値は、476mm。
マイナス寄りですが、使用限度には達していないので、引き続き使用します。
コイルスプリングを圧縮すると外径が大きくなり、大きくなった外径を元に戻そうと回転する力が発生します。
この回転時に発生する抵抗を低減するためにスラストベアリングを取り付けます。
コイルスプリングが圧縮されて回転する時には、それなりの抵抗が発生しているものと推測します。
小さな圧縮では回転せず、ある程度大きな圧縮がかかった際に「ガクッ、ガクッ」とずれて回るようなイメージです。
「ガクッ、ガクッ」から、「スルスル~」っと滑らかに回転力をリリースすることにより、路面の凹凸への追従性の向上や、段差を乗り越えるときに感じる、衝撃の緩和が期待できるのではないか…。
多くの方がブログ等に記事を書かれています。
数百円のコストで高評価なレビューが多いなか、メーカーが市販車に採用しないということは、コストに見合った効果がないのだろうと想像しますが、物は試しでやってみます。
耐久性については次回のフォークオイル交換時に再度ばらして確認してみましょう。
スラストベアリングは、NTN製を購入。
外径φ30mm、内径φ17mmで、外径はスプリングとほぼ同じです。
ワッシャ込みの厚さが4mmなので、組み込むとプリロードが4mmかかった状態になります。
スラストベアリングの取り付け位置ですが、以下の理由からスプリングの上とします。
- オイル量と油面の関係に与える影響が少ない
- ばね下の質量を増やしたくない
- ベアリングの動作をシンプルにし、余計なフリクションを減らしたい
スプリングの上に取り付けた場合:回転運動
スプリングの下に取り付けた場合:回転運動+上下運動
スプリングの下に取り付けた場合は、フォークオイルによる潤滑のメリットが考えられますが、上記理由を優先します。
それでは、組み立てていきます。
各バーツは事前に清掃しておきます。
No.7 スプリング リテーナーに、シリコングリスを薄く塗ったNo.8 Оリングを取り付け、インナーチューブの上から親指の届く範囲で押し込みます。
No.6 サークリップをインナーチューブの上から入れて内側の溝に引っ掛けます。
下から適当な棒で、No.7 スプリング リテーナーをNo.6 サークリップに突き当たるまでトントン押します。
No.7 スプリング リテーナーとNo.10コイルスプリングの間にスラストベアリングを取り付けます。
ベアリング(AXK1103)をワッシャ(AS1103)で挟んだ状態でコイルスプリングの上に乗せ、ずれないようにインナーチューブをかぶせていきます。
No.11 ダンピングピースに巻く、No.12 ガイドリング(31421452013)は新品に交換します。
ガイドリングにフォーク オイルを塗布し、半円状の切り欠きのある端を下に向けてダンピングピースに取り付けます。
インナーチューブの下側からガイドリングを巻いたダンパーアッシー(No.11,13,14,15.16,17,22)を押し込みますが、インナーチューブ内面に1.3mm程の段差があり、そのままではガイドリングが引っ掛かります。
段差分のシートをインナーチューブの内面に挟み込み、段差を無くしてからダンパーアッシーを押し込みます。
挟み込むシートは100均に売っている年賀状フォルダなどのポリプロピレン製の表紙が0.5mm程なので、2枚重ねて、さらに間に養生テープなどを貼ると丁度段差が無くなります。
インナーチューブを上下逆さまにして、ダンパーに、No.18 バルブ ケース、No.20 スペーサーの順に通します。
スナップリングには製造上エッジに丸みがある面とエッジの立った面があります。
特に決まりはないのかもしれませんが、接触面積が広く外れにくいような気がして、エッジの立っている面を荷重のかかる側(下側)に組んでいます。
床にゴム板などを敷き、スプリングをグッと押し込んだ状態でスナップリングを掛けます。
完成です。
【追記】車体への組みつけはこちら ↓
【追記】インプレッションはこちら ↓