Silent Hektik オルタネーター

2019年3月10日

走行距離82,970km

バッテリー交換と併せてオルタネーターを交換していますので、記事にまとめておきます。

 

目次

 

発端

走行中にGENランプ(チャージランプ)がぼんやりと点いたり消えたりしだしたので点検したところ、ダイオードボードのグランドケーブル2本のうち1本が断線しかけていました。

上のケーブルは割れた被覆から露出した素線が何本か切れていて、端子には緑青が吹いています。
下のケーブルも被覆がプラスチックのように硬化しています。

 

フロントエンジンカバーの中は高温に曝され、配線の被覆やコネクターなどの樹脂部品が硬化して柔軟性がなくなり、振動で徐々に破損していくのではないでしょうか。

ダイオードボードの防振ステーはお約束通り破断、イグニッショントリガーのコネクターも割れたため以前交換しています。

あちこち劣化が進行しているようなので、発電システム一式で交換することにしました。

 

オルタネーターの選定

当時はローターに電磁石を使用したオルタネーターがとても古臭いものに思えました。

カーボンブラシのメンテナンスも必要ですし、現行のバイクは永久磁石を使用したものが多く、こんな発電機は少数派です。

(この辺りは最近調べたので続編に記載します。自動車用のオルタネーターは現在もほとんどローターに電磁石を採用しており、決して古臭いものではなく、むしろバイクでは高級品だったと思います。勉強不足でした。)

 

永久磁石を使用したアフターマーケットのオルタネーターでは、EnDuraLast が有名です。

 

日本ではあまりメジャーではありませんが Silent Hektik というドイツの会社も永久磁石を使用したオルタネーターを作っており、こちらを購入しました。

 

Silent Hektik を選んだ理由は、純正と同じ三相交流発電であること(整流後の電圧変化が小さい)と、完全に自社開発品のようでホームページから製品に対する作り手の熱量が感じられたから。

EnDuraLast を選ばなかった理由は、ステーターコイルから出ている配線が2本に見えるので、おそらく単相交流発電なのではないか、また DUCATI 916 の頃まで使用されていたオルタネーターがベースのようで、基本設計が古いのではないかと感じたから。

 

 Silent Hektik のオルタネーターを購入したお店はこちら ↓

 

グラフで電流値を見るとアイドリング付近では EnDuraLast 、街乗りやツーリングで使用する回転域では、Silent Hektik の方が多少良いような気がします。

EnDuraLast

Silent Hektik

 

取り付け

取扱説明書に従い取り付けます。

https://www.silent-hektik.de/E_V1325_410W.pdf

 

下の写真のようなハーネスを作りました。

純正のエンジンワイヤーハーネス(部品番号 61111243646)を取り外し、このハーネスと入れ替えればカプラーオンで接続できます。

黒いコネクターはエーモンのもの、白いコネクターはタイコエレクトロニクスのものです。

型番 171706-1 171706-1 : FASTON 圧着端子ハウジング | TE Connectivity
型番 180908 180908 : FASTIN-FASTON 圧着端子ハウジング | TE Connectivity
製品コード 3355 エーモン/[3355]カプラー3極(ロック付 250型)/製品詳細ページ

灰色の枠内が作製したハーネスの配線図になります。(バッテリー配線を除く)
ジェネレーターからの配線はレギュレーターの LiMa端子3か所のどこに接続してもOKです。
※ LiMa = Lichtmaschinen(オルタネーター)


Silent Hektik のレギュレーター(レギュレートレクチファイア)は純正のレギュレータ―とボルト穴の位置が同じなのでボルトオンです。

アルミの切削加工品で仕上げもキレイです。

純正のレギュレーターの位置に収まります。

 

純正のダイオードボード(レクチファイア)は、Silent Hektik のレギュレーター(レギュレートレクチファイヤ)に機能が統合されるので不要になります。

ローターには冷却ファンが切削加工されています。

ローターは鉄製で防錆処理されています。
ベース部分はアルミの削り出し。切削部品が多いです。

 

交換後の感想

1000rpm弱のアイドリングからGENランプが消えます。

3500rpm辺りでローターの風切音がしますが、回転を上げていくとわからなくなります。

機械は構成が複雑になるほど、部品点数が増えるほど、故障やトラブルの原因も増えます。

そういう意味では部品構成がシンプルになり、カーボンブラシのような摩耗箇所も減るので、メンテナンスも楽になります。

 

電気周りの不安要素が減り、総じて交換してよかったと思っています。

交換してもうすぐ4年半ですが、オルタネーターに起因するトラブルはありません。